美容医療を受けたことを、相手に言うべきか。この問いに一般的な正解はありませんが、考える手がかりはあります。伝える・伝えないの判断基準と、伝えるときの言い方を整理しました。
伝える義務はありません
まず前提として、美容医療を受けたことを申告する義務はありません。髪を染めることや、歯列矯正をすることと同じで、自分の身体をどう手入れするかは本人の選択です。
「隠している」と考える必要もありません。聞かれていないことを言わないのは、隠蔽ではありません。
それでも考えておいたほうがよい理由
ただし、関係が長く続く場合には、次のような場面が生じることがあります。
- 通院やメンテナンスが必要な処置の場合。継続的に時間や費用がかかると、いずれ話題になります
- 昔の写真を見られる場面。結婚に向けて家族に会う、アルバムを見るといった機会があります
- 子どもの容姿の話が出たとき。「誰に似た」という会話は、自然に出てきます
つまり、「隠し通す」ことを前提にすると、その後に負担が残る場合があります。伝えるかどうかは自由ですが、「聞かれたら答える」くらいの構えでいるほうが楽です。
判断の基準になる3つの問い
- その処置は、継続的な通院を伴うか。伴うなら、いずれ知られる前提で考えるほうが現実的です
- 相手にどう受け止めてほしいか。「気にしていた」という文脈で話すのか、「手入れの一環」として話すのかで、伝え方が変わります
- 相手の反応で、関係を判断してよいか。この話をどう受け止めるかは、その人の価値観が表れる場面でもあります
3つ目は重要です。打ち明けたときの反応は、相手が「他人の選択をどう扱う人か」を知る材料になります。否定的な反応が返ってきたなら、それはその後の関係を考える情報になります。
伝えるときの言い方
深刻に切り出す必要はありません。
- 「気になっていたところがあって、手を入れたことがあるんです」
- 「昔から悩んでいて、思い切って治療しました」
謝る必要も、詳しく説明する必要もありません。事実として、軽く伝えるだけで十分です。多くの場合、相手は「そうなんだ」で終わります。
美容医療は医療行為です。効果にも、リスクにも個人差があります。「婚活のために急いで」という理由で決めると、判断を誤りやすくなります。複数の医療機関で説明を聞き、期間・費用・起こりうる合併症まで確認したうえで決めてください。写真の撮影日が近いことを理由に、回復期間を無視した予定を組まないでください。
施術の種類によって、考え方が変わる
「美容医療を受けたこと」と一口に言っても、内容には幅があります。同じ基準で考える必要はありません。
| 種類 | 特徴 | 伝える必要性 |
|---|---|---|
| 脱毛、しみ・にきびの治療 | 治療に近い性質。元に戻る要素も | 低い。話題に出れば話す程度で十分 |
| 注入による一時的な変化 | 時間とともに戻ります | 低い。ただし継続する場合は生活に関わります |
| 持続する変化を伴うもの | 元には戻りません | 状況によります。下記を参照してください |
| 健康上の理由による治療 | 機能の改善が目的 | 伝える必要はありません |
上の2つについて悩む必要は、ほとんどありません。脱毛や肌の治療は、多くの人が受けているもので、隠すような性質のものではありません。
考える必要があるのは、3番目——持続する変化を伴うものです。ここについて、以下で整理します。
判断の分かれ目は「将来に関わるかどうか」
伝えるかどうかを決めるとき、いちばん実用的な基準がこれです。
1. 子どもへの影響を気にする場面があるか。子どもを希望する場合、「似ていない」という話題が出ることがあります。あとから発覚するより、先に伝えてあるほうが、はるかに穏やかに済みます。
2. 継続的な通院や費用が必要か。定期的な施術が必要なものであれば、生活と家計に関わります。一緒に暮らす相手には、いずれ分かることです。
3. 健康上、伝えておくべきことがあるか。体内に入れているもの、麻酔歴、経過観察が必要な状態。これは、医療上の必要から伝えるべき情報です。
4. 隠し続けることが、負担になるか。写真を見られたくない、特定の話題を避けている、旅行で不安になる。この負担が続くくらいなら、伝えたほうが楽になります。
逆に言えば、この4つのどれにも当てはまらないなら、伝えなくても差し支えありません。過去の医療の記録は、本来、極めて個人的な情報です。
伝えるときの、言い方と場面
伝えると決めた場合、言い方と場面で、受け取られ方が変わります。
場面は、二人きりで、落ち着いているとき。デートの帰り道や、食事の席は避けてください。相手が反応を返す時間があり、周囲を気にせずに済む場所を選びます。
時期は、交際が始まって、関係が安定してから。会って間もない段階で打ち明けると、相手は受け止め方に困ります。
言い方の例
隠すことでもないと思ったので、伝えておきますね。
そのおかげで、人と話すのが前より楽になったところがあります。
避けたい言い方
- 謝る。「騙すつもりはなかった」と切り出すと、悪いことをした前提になります
- 深刻にしすぎる。重大な告白のように話すと、相手も重く受け取ります
- 詳細を話しすぎる。費用、回数、経過。聞かれてから答えれば十分です
いちばん良いのは、事実として淡々と伝えることです。こちらが自然に扱えば、相手も自然に受け取ります。
相手の反応と、その後
伝えたあとの反応は、いくつかに分かれます。それぞれの受け止め方を、先に考えておいてください。
「そうなんだ」で終わる。いちばん多い反応です。相手にとって、それほど重要な情報ではなかったということです。
質問される。関心を持って聞いているだけの場合がほとんどです。答えたくない部分は「そこはあまり話したくないかな」で構いません。
戸惑う。驚いただけかもしれません。その場で結論を求めず、時間を置いてください。
否定的な反応を示す。つらい場面ですが、価値観の違いが明らかになったということでもあります。結婚してから知られて否定されるより、この段階で分かるほうが、はるかに傷が浅く済みます。
そして、伝えたことを後悔しないでください。受け入れられなかったとしたら、それは伝え方の問題ではなく、相手の価値観の問題です。受け入れる人のほうが、実際には多いということも、覚えておいてください。
これから受けるかどうか、迷っている場合
まだ受けていない段階で、婚活のために検討している方もいると思います。その場合に考えておきたいことを、いくつか。
1. 動機を確かめる。「自分が気にしているから」なのか、「誰かに言われたから」なのか。後者が理由の場合、受けても満足が得られないことがあります。
2. 元に戻せるかどうかを確認する。時間とともに戻るものと、戻らないものがあります。迷いがあるなら、戻るものから試すのが安全です。
3. 期間を確認する。回復までにどのくらいかかるか。直後は腫れや内出血が出ることがあり、人と会えない期間が生じます。婚活の予定と重ならないよう、計画してください。
4. 費用の総額を確認する。追加や修正が必要になった場合の費用も含めて。
5. 複数の医療機関で相談する。説明の内容や、勧められる方針が違うことがあります。その場で契約を急がされる場合は、いったん持ち帰ってください。
6. 順番を考える。髪、眉、服のサイズ、姿勢、写真の撮り方。費用をかけずにできることを先に済ませてからでも遅くありません。清潔感とは何かと写真の撮り方をご覧ください。
受けること自体は、責められることではありません。ただ、婚活の結果が変わらなかったときに後悔しないよう、動機と順番だけは確かめておいてください。
カウンセリングで、聞いておくこと
受けるかどうかを検討する段階で、確認しておくべきことを挙げます。メモして持っていってください。
施術について
- 何をするのか、具体的に
- 元に戻せるか。時間とともに戻るものか、戻らないものか
- どのくらい持続するか
- 修正が必要になった場合、可能か。費用はどうなるか
回復について
- 腫れや内出血が出る期間
- 人と会えるようになるまでの目安
- 仕事を休む必要があるか
- 制限されること。運動、入浴、飲酒、メイク
安全について
- 起こりうる合併症と、その頻度
- 術後に問題が起きたときの連絡先と、対応時間
- 執刀するのは誰か。カウンセリングの担当者と同じ人か
- 持病や服用中の薬がある場合、受けられるか
費用について
- 総額。麻酔代、薬代、検診料を含めて
- 追加費用が発生する場合の条件
そして、その場で契約しないでください。「持ち帰って検討します」と言って構いません。「今日だけ」「今なら割引」と急がされる場合は、慎重になってください。
複数の医療機関で、相談する
ひとつの医療機関だけで決めないでください。説明の内容や、勧められる方針が違うことがあります。
比べるときに見る点
- 説明の丁寧さ。できることだけでなく、できないこと・リスクも説明するか
- 他の選択肢を提示するか。「これしかない」と言う場合は、慎重に
- 希望を、そのまま受け入れるか、意見を言うか。「その必要はないと思います」と言える医師は、信頼できます
- 質問に、はっきり答えるか
- 費用の説明が明確か
- 急がせないか
相談した結果、「いまの状態なら、施術より別の方法のほうがいい」と言われることがあります。これは、良い医療機関の特徴です。その助言を受け入れる選択も、当然あります。気にしていた部分が、実は他の方法で解決できることは、少なくありません。
そして、順番を守ってください。髪、眉、服のサイズ、姿勢、写真の撮り方——費用をかけずにできることを先に済ませてからでも、遅くありません。
「これを変えれば婚活がうまくいく」と考えている場合は、いったん立ち止まってください。反応が出ない原因が、実は写真の撮り方だった——ということは非常によくあります(見た目の整え方)。順番を確かめてから決めても、選択肢は消えません。
相談先
形成外科・美容外科で相談できます
受けるかどうかを決める前の段階でも、相談できます。どういう選択肢があるのか、それぞれに何が伴うのかを聞いたうえで判断してください。
よくある質問
プロフィール写真は施術前・後どちらを使うべきですか?
相手に言わないままでいるのは、不誠実でしょうか。
婚活の直前に施術を受けても大丈夫ですか?
結婚前に、必ず伝えるべきでしょうか。
相手が受けていたと後から知りました。
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