結婚や妊娠を考えたときに受ける健康チェックを、ブライダルチェックと呼びます。「何を調べるのか」「いつ受けるのか」「結果が悪かったらどうなるのか」。受ける前に知っておきたいことを、順に整理しました。
ブライダルチェックとは何か
ブライダルチェックは、結婚や妊娠を控えた方が受ける、婦人科系の健康チェックの総称です。決まった検査項目があるわけではなく、医療機関ごとに内容が組まれています。
目的は大きく2つです。ひとつは、自覚症状のない病気を早い段階で見つけること。子宮筋腫や子宮内膜症、性感染症は、症状が出ないまま進むことがあります。もうひとつは、妊娠に関わる状態を知っておくことです。
「結婚するから受けなければならない」という性質のものではありません。これからの選択を、情報のある状態で決めるための検査だと考えてください。
主な検査項目
| 検査 | 何が分かるか |
|---|---|
| 内診・経腟超音波 | 子宮や卵巣の形と大きさ。子宮筋腫、卵巣のう腫などの有無 |
| 子宮頸がん検診 | 子宮頸部の細胞の異常。20歳以上は定期的な受診が推奨されています |
| 性感染症検査 | クラミジア、淋菌、梅毒、HIV など。自覚症状がないまま進むものがあります |
| 血液検査(一般) | 貧血、肝機能、腎機能、血糖など |
| 風疹抗体 | 妊娠初期の感染は胎児に影響しうるため、抗体の有無を確認します |
| ホルモン検査 | 月経周期に関わるホルモンの状態 |
| AMH(抗ミュラー管ホルモン) | 卵巣に残っている卵子のおおよその数の目安 |
すべてを受ける必要はありません。年齢、月経の状態、妊娠を考える時期によって、必要な項目は変わります。診察のときに相談して決めてください。
たとえばAMHは卵子の「数」の目安であって、妊娠のしやすさそのものを示す数値ではありません。数値が高くても妊娠するとは限らず、低くても妊娠する方はいます。ひとつの数値だけで将来を判断しないでください。結果の意味は、必ず医師の説明を受けたうえで受け止めることが大切です。
いつ受けるのがよいか
時期の目安は次のとおりです。
- 結婚や妊娠を考え始めたとき。「そろそろ」と思った時点で十分です
- 月経周期のうち、生理中を避けた時期。検査によっては生理中だと受けられないものがあります。予約時に月経周期を伝えてください
- 結果が出るまでの期間を見込んで。項目によっては1〜2週間かかります
「相手が決まってから」と考える方が多いのですが、自分の体の状態を先に知っておくほうが、その後の選択がしやすくなります。
費用と、当日の流れ
ブライダルチェックは、症状がない場合は自費診療となるのが一般的です。金額は検査の組み合わせと医療機関によって大きく異なるため、受診前に項目と費用を確認してください。症状がある場合は、保険診療の対象になることもあります。
当日は、問診 → 内診・超音波 → 採血・検体採取、という流れが一般的です。時間は30分から1時間ほど。結果は後日、説明を受けます。
結果が思わしくなかったとき
不安に感じるのは当然ですが、次の2点を知っておいてください。
ひとつは、早く分かったこと自体に価値があるということです。治療で対応できるもの、経過を見ればよいもの、生活の工夫で変わるもの。いずれも早いほど選択肢が多く残ります。
もうひとつは、ひとつの結果が将来を決めるわけではないということです。数値には個人差があり、時期による変動もあります。気になる結果が出たときこそ、自己判断せず医師に説明を求めてください。
検査項目を、目的別に分けて理解する
項目が多く見えますが、目的で分けると整理できます。
| 目的 | 主な項目 | なぜ調べるのか |
|---|---|---|
| 子宮・卵巣の状態を見る | 超音波検査、内診 | 筋腫や嚢腫など、自覚症状がないまま進むものがあります |
| 感染症の有無 | クラミジア、淋菌、梅毒、HIV、肝炎など | 自覚症状がないことが多く、妊娠に影響する場合があります |
| 免疫の確認 | 風疹の抗体など | 妊娠中の感染を防ぐため。接種が必要な場合、時期の計画が要ります |
| ホルモンの状態 | 血液検査 | 周期の乱れや、卵巣の状態の目安になります |
| がんの検診 | 子宮頸部の細胞診など | 若い年代でも見つかることがあります |
| 全身の状態 | 貧血、甲状腺など | 妊娠や体調に関わります |
すべてを受ける必要はありません。年齢、これまでの経過、今後の希望によって、必要な項目は変わります。「何のために調べるのか」を確認したうえで選んでください。
とくに風疹の抗体は、時期の計画に関わります。抗体が十分でない場合、ワクチンの接種が勧められることがあり、接種後は一定期間の避妊が必要になります。妊娠を考える時期から逆算して、早めに確認しておく意味があります。
当日の流れと、準備しておくこと
初めて受ける方は、当日の様子が分からないことが不安の原因になります。おおよその流れを知っておいてください。
1. 予約。電話やインターネットで。月経中は受けられない検査があるため、周期を伝えて日程を相談してください。
2. 問診票の記入。月経の周期、これまでの妊娠・手術の経験、持病、服用中の薬、家族の病歴。あらかじめ整理しておくと、当日書きやすくなります。
3. 診察と検査。内容によりますが、30分から1時間程度が目安です。
4. 結果。その日に分かるものと、後日になるものがあります。結果の説明をいつ受けられるかを、最初に確認しておいてください。
持っていくもの
- 健康保険証(保険が適用される項目がある場合に必要です)
- 基礎体温をつけていれば、その記録
- 過去の検査結果があれば
- 脱ぎ着しやすい服装。スカートだと、内診の際に楽です
費用と、保険の考え方
費用について、あらかじめ知っておいてください。
基本的に、自費診療です。ブライダルチェックは、症状のない方が将来のために受ける検査なので、多くの項目が保険の対象外になります。
ただし、症状がある場合や、検査の結果で治療が必要になった場合は、保険が適用されることがあります。「生理痛がひどい」「不正出血がある」といった症状があれば、それを伝えてください。診療の扱いが変わる場合があります。
費用を抑える方法
- 項目を選ぶ。一式のコースではなく、必要なものだけを選べる医療機関もあります
- 自治体の助成を確認する。子宮頸がん検診や風疹の抗体検査は、助成の対象になっている場合があります
- 保健所の無料検査。一部の感染症については、匿名・無料で受けられる制度があります
予約の際に、総額を確認してください。「一式でいくらか」「追加の項目はいくらか」。ここを聞いておくと、当日慌てずに済みます。
結果をどう受け止め、どう使うか
結果が思わしくなかった場合を心配して、受診をためらう方がいます。ここが、いちばん誤解の多い部分です。
1. 多くは、対処できることです。感染症であれば治療できます。貧血や甲状腺の状態も同様です。知らずに過ごすほうが、リスクが大きい。
2. 結果は「いまの状態」であって、将来の断定ではありません。とくに、卵巣の状態を示す数値は、妊娠できるかどうかを断定するものではありません。数値だけを見て悲観しないでください。必ず説明を受けてください。
3. 早く知るほど、選択肢が多い。治療が必要なら早く始められますし、時期の計画も立てられます。これが受ける最大の意味です。
4. 結果は、あなたの価値とは無関係です。体の状態を知ることと、自分を評価することは、まったく別のことです。
5. 相手に伝えるかどうかは、自分で決められます。検査結果は、極めて個人的な情報です。結婚を考える段階で共有する方が多いのですが、いつ、どこまで話すかは、あなたが決めることです。
受ける時期の、決め方
「いつ受けるべきか」に決まりはありませんが、目安になる考え方があります。
交際相手がいない段階で受ける。これも十分にあり得る選択です。自分の体の状態を知っておくと、婚活の進め方や時期の考え方が具体的になります。漠然と焦り続けるより、数字を知るほうが落ち着きます。
交際が始まって、結婚を意識し始めたころ。いちばん多い時期です。二人で話し合ううえでの材料になります。
結婚が決まってから。ただし、風疹の抗体やワクチンの時期を考えると、少し早めのほうが余裕があります。
年齢で考えるなら、30歳前後がひとつの目安とされることがあります。ただし、これは「それ以降では遅い」という意味ではありません。年齢にかかわらず、思い立ったときが受け時です。
年齢と妊娠の関係については年齢と妊娠に、パートナーの検査については男性のブライダルチェックにまとめました。できれば、二人で受けてください。片方だけでは分からないことがあります。
受ける前の、準備
予約から当日までに、整理しておくと当日が楽になることがあります。
書き出しておくこと
- 月経の周期。前回の開始日、周期の長さ、期間。手帳やアプリの記録があれば持参してください
- 月経に伴う症状。痛みの程度、量、不正出血の有無
- これまでの妊娠・出産・手術の経験
- 持病、服用中の薬、サプリメント
- アレルギー
- 家族の病歴。気になるものがあれば
- 今後の希望。子どもを望むか、時期の考え方
聞きたいことを、メモしておく
診察の場では、緊張して聞き忘れることが多くあります。3つまでに絞って、メモしていってください。
予約時に確認すること
- 月経中でも受けられるか。受けられない検査があります
- 所要時間
- 費用の総額
- 結果が出るまでの日数と、受け取り方
- 女性医師を希望できるか
そして、生理周期のどの時期に受けるかで、調べられる項目が変わることがあります。予約の際に、月経の周期を伝えて相談してください。
結果を、どう活かすか
受けて終わりにせず、結果を活用してください。
1. 保管する。紙の結果は、まとめて保管。写真に撮ってクラウドに残しておくと、いつでも確認できます。
2. 数値の意味を、その場で聞く。「基準値内です」で終わらせず、「この数値は、どういう意味ですか」と聞いてください。後でインターネットで調べて不安になるより、確実です。
3. 次に受ける時期を、確認する。「1年後」「2年後」「気になったら」。1回で終わるものではありません。
4. 治療が必要な項目は、その場で予定を決める。「様子を見ましょう」で終わった場合も、いつ再確認するかを聞いておいてください。
5. 婚活の進め方に、反映させる。子どもを希望する場合、結果によって時期の考え方が変わることがあります。漠然と焦るのではなく、事実に基づいて計画を立てられます。
6. パートナーができたら、共有するかを考える。結婚を決める段階では、伝えておくほうが後で問題になりません。ただし、いつ、どこまで話すかは、あなたが決めることです。
そして、いちばん大切なこと。結果が思わしくなくても、それはあなたの価値とは無関係です。体の状態を知ることと、自分を評価することは、まったく別のことです。
知ったことで、取れる選択肢が増えます。それが、受ける意味です(年齢と妊娠、卵子凍結について)。
よくある質問
結婚の予定がなくても受けられますか?
パートナーと一緒に受けたほうがいいですか?
結果は相手に伝えるべきですか?
痛みはありますか?
婦人科に行ったことがなく、抵抗があります。
相手に、結果を伝えるべきですか?
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