交際が始まる前、あるいは始まったばかりの時期に、検査を考える方は少なくありません。自覚症状がないまま進むものがあるため、心当たりの有無にかかわらず受ける意味があります。どこで、どう受けるのかを説明します。
症状がないことのほうが多い
性感染症のなかには、感染しても自覚症状が出ないものがあります。クラミジアはその代表で、特に女性では症状に気づかないまま経過することが少なくありません。
放置すると、炎症が広がって将来の妊娠に影響する場合があります。また、気づかないまま相手にうつしてしまうこともあります。
つまり、「症状がないから大丈夫」とは言えない領域です。検査でしか分かりません。
主な検査項目
| 検査 | 調べ方 | 特徴 |
|---|---|---|
| クラミジア | 尿・分泌物 | もっとも多い性感染症のひとつ。無症状が多い |
| 淋菌 | 尿・分泌物 | 男性は症状が出やすいが、女性は気づきにくい |
| 梅毒 | 血液 | 近年、報告数の増加が指摘されています |
| HIV | 血液 | 感染から一定期間経たないと正しく判定できません |
| B型・C型肝炎 | 血液 | 血液や体液を介して感染します |
| ヘルペス、尖圭コンジローマ | 視診・検体 | 症状がある場合に検査します |
感染してすぐは、検査をしても正しい結果が出ないことがあります(ウインドウ期間)。心当たりがある場合は、その時期から必要な期間を空けてから受ける必要があります。いつ受けるべきかは項目によって異なるので、受診時に相談してください。
どこで受けられるか
- 泌尿器科(男性)/婦人科(女性)。症状があれば保険診療の対象になります。症状がない場合の検査は自費となるのが一般的です
- 保健所。自治体によって、HIVや梅毒などの検査を無料・匿名で受けられます。実施日や項目は自治体ごとに違うので、確認が必要です
- 郵送検査。自宅で採取して送る方法です。手軽ですが、陽性だった場合は結局医療機関を受診する必要があります
確実なのは医療機関です。検査から治療まで一貫して対応できるためです。
相手にどう伝えるか
デリケートな話題ですが、伝え方の型を知っておくと切り出しやすくなります。
- 相手を疑う話にしない。「お互いのために」「自分も受けてきた」という言い方にする
- 自分が先に受ける。受けたうえで話すほうが、提案として伝わります
- 結果が出た場合も、隠さない。治療できるものが多くあります。伝えずに関係を続けるほうが、後で問題になります
この話をきちんとできる相手かどうかは、その後の関係を測る材料にもなります。
受ける場所ごとの、違い
検査を受けられる場所は複数あり、費用も匿名性も違います。目的に応じて選んでください。
| 場所 | 費用 | 特徴 |
|---|---|---|
| 保健所 | 無料・匿名の場合があります | 対象となる項目や実施日が限られます。事前に確認が必要です |
| 医療機関(症状がある場合) | 保険適用 | 治療まで一貫して受けられます |
| 医療機関(症状がない場合) | 自費 | 希望する項目を選べます。結果の説明を受けられます |
| 郵送検査 | 数千円〜 | 自宅で採取して送ります。陽性の場合は、結局受診が必要です |
費用を抑えたい場合は、保健所を確認してください。自治体によって、実施している項目や日程が異なります。「お住まいの自治体名+保健所+検査」で調べられます。
ただし、症状がある場合は、医療機関を受診してください。検査だけでなく、治療が必要になるためです。この場合は保険が適用されます。
郵送検査について。手軽ですが、陽性だった場合は結局、医療機関にかかることになります。また、採取が正しく行えていないと、正確な結果が出ません。最初から医療機関で受けるほうが、確実です。
受診の流れと、聞かれること
受診をためらう理由の多くが、「何を聞かれるか分からない」ことにあります。
聞かれること
- 症状の有無。おりものの変化、排尿時の違和感、発疹、かゆみなど
- いつごろから気になっているか
- 検査を希望する理由。「結婚を考えているので」で十分です
- これまでの検査歴、治療歴
- 持病、服用中の薬、アレルギー
過去の交際歴について、詳しく問い詰められることはありません。診療に必要な範囲で聞かれるだけです。ここを心配して受診をためらう方が多いのですが、医療機関にとっては日常的な診療です。
検査の方法
- 血液検査。複数の項目を、一度の採血で調べられます
- 尿検査
- 分泌物や患部からの採取
結果が出るまでの期間は、項目によって異なります。数日から1週間程度が目安です。結果をどう受け取るか(来院か、電話か、インターネットか)を、最初に確認しておいてください。
結果が陽性だった場合
ここを心配して受けない方がいますが、知らずに過ごすほうが、リスクははるかに大きいのです。
1. 多くは、治療できます。種類によって方法は異なりますが、適切な治療で対処できるものが多くあります。自己判断で市販薬を使ったり、放置したりしないでください。
2. 指示された期間、治療を続けてください。症状が消えても、治りきっていないことがあります。途中でやめると、再発したり、他の人にうつしたりする原因になります。
3. 治療中は、性的接触を控えるよう指示されます。期間は医師の指示に従ってください。
4. パートナーも、同時に検査・治療を受ける必要があります。片方だけ治療しても、繰り返しうつし合うことになります。これは非常に重要な点です。
5. 治療後の確認検査を受けてください。治りきったかどうかを確認する必要があります。
そして、自分を責めないでください。これは、誰にでも起こりうることです。早く気づいて治療することが、いちばん大切です。
パートナーへの、伝え方
いちばん難しいのが、この部分です。言い方を用意しておいてください。
一緒に受けようと誘うとき
症状がなくても分からないものがあるみたいだから、二人で確認しておきたくて。
ポイントは、「二人で受ける」形にすること。相手だけに勧めると、疑っているように受け取られます。自分も受ける前提で誘ってください。
陽性だったことを伝えるとき
うつっている可能性があるので、〇〇さんも検査を受けてほしい。
黙っているほうが良くないと思って、伝えました。
伝えるのは、つらいことです。けれど、伝えないことのほうが、はるかに重大な結果を招きます。相手の健康に関わることであり、伝える責任があります。
そして、この場面での相手の反応は、その人を知る機会にもなります。一緒に対処しようとする相手か、責めるだけの相手か。ここで分かることがあります。
結婚を考える段階で、確認しておく
結婚を具体的に考える段階では、健康に関する情報の共有が必要になります。感染症の検査は、その一部です。
この時期に受ける意味
- 妊娠に影響するものがあります。自覚症状がないまま経過し、後になって分かる場合があります
- 妊娠中の感染は、赤ちゃんに影響することがあります。妊娠前に確認しておく意味があります
- 治療に時間がかかる場合があります。早く分かるほど、余裕を持って対処できます
ブライダルチェックの一環として受けられます。感染症の項目は、多くの場合その中に含まれています。女性のブライダルチェックと男性のブライダルチェックをご覧ください。
結婚前の健康確認全般については、結婚前の健康診断にまとめました。
最後に、いちばん伝えたいことです。検査を受けることは、疑うことではありません。お互いの健康を守るための、当たり前の手続きです。そう考えられる関係を作ることのほうが、検査そのものより大切かもしれません。
予防のために、できること
検査と同じくらい大切なのが、予防です。基本的なことですが、確認しておいてください。
1. コンドームを使う。すべてを防げるわけではありませんが、多くの感染症のリスクを下げます。「相手を信頼しているから」は、感染症を防ぐ理由になりません。自覚症状がないまま感染している場合があるからです。
2. お互いに検査を受けてから。関係を持つ前に、二人で受ける。これがいちばん確実です。
3. 症状があるときは、避ける。違和感、痛み、発疹。相手にうつす可能性があります。
4. ワクチンで予防できるものがある。一部の感染症には、ワクチンがあります。対象や費用は自治体や年齢によって異なるので、確認してみてください。
5. 定期的に検査を受ける。新しい関係が始まったとき、不安を感じたとき。年に1回程度を目安にする方もいます。
そして、予防と検査は、相手を疑うことではありません。お互いの健康を守るための、当たり前の手続きです。そう考えられる関係を作ることのほうが、大切かもしれません。
断りにくい場面での、伝え方
実際に難しいのは、その場で「使ってほしい」「検査を受けてから」と言えるかどうかです。言葉を用意しておいてください。
予防具を求めるとき
お互いのためだから。
短く、理由を添えるだけで十分です。説明を重ねると、交渉のようになります。
相手が渋る場合
ここで譲らないでください。渋る相手は、他の場面でもこちらの意思を尊重しません。この場面での反応は、その人の姿勢そのものです。
検査を提案するとき
症状がなくても分からないものがあるみたいだから。
「二人で受ける」形にすることが大切です。相手だけに求めると、疑っているように受け取られます。
その場を離れたいとき
理由を説明する必要はありません。「今日は帰ります」で十分です。断ったことで態度が変わる相手なら、その時点で分かってよかったと考えてください。
そして、押し切られてしまった場合。自分を責めないでください。断りにくい状況を作ったのは、相手です。不安があれば、時期を見て検査を受けてください。必要に応じて、警察相談専用電話「#9110」など、相談できる窓口もあります。
よくある質問
心当たりがなくても受ける意味はありますか?
陽性だったらどうなりますか?
検査を受けたことが誰かに知られますか?
心当たりがなくても、受ける意味はありますか?
結果が誰かに知られることはありますか?
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