結婚を控えると、住まいや仕事の話は進めても、健康のことは後回しになりがちです。けれど、生活を共にする相手ができるということは、健康の問題も共有するということでもあります。何を、いつ受けておくとよいのかを整理しました。
なぜ結婚前に受けておくのか
理由は3つあります。
- 自覚症状のない状態を見つけられる。高血圧、脂質異常症、糖尿病の初期は、ほとんど症状が出ません
- 妊娠を考える場合、事前に整えておきたい項目がある。血糖や甲状腺の状態、風疹の抗体などが該当します
- 早く分かれば、生活の見直しで済むことが多い。進行してからでは、治療が必要になります
「特に不調はないから」と考える方が多いのですが、健康診断は不調を確かめるものではなく、不調がないことを確かめるものです。
受けておきたい項目
| 項目 | 分かること |
|---|---|
| 血圧 | 高血圧の有無。自覚症状がないまま進みます |
| 血液検査(血糖・HbA1c) | 糖尿病やその前段階。妊娠にも関わります |
| 血液検査(脂質) | コレステロール、中性脂肪の状態 |
| 肝機能・腎機能 | 臓器の状態。飲酒習慣がある方は特に |
| 貧血 | 女性に多く、妊娠前に把握しておきたい項目です |
| 甲状腺機能 | 疲れやすさ、体重の変化、月経の乱れに関わることがあります |
| 感染症(B型・C型肝炎、梅毒など) | 自覚症状がないまま経過することがあります |
| 風疹抗体 | 妊娠を考える場合、双方が確認しておきたい項目です |
| 胸部レントゲン・心電図 | 基礎的な状態の確認 |
年齢、家族に多い病気、生活習慣、妊娠を考えているかどうかで、優先すべき項目は変わります。一律に全部を受ける必要はありません。診察のときに、自分の状況を伝えて相談してください。検査結果の意味も、必ず医師の説明を受けたうえで理解することが大切です。
会社の健診でカバーできること・できないこと
職場の定期健康診断を受けている方は、基本的な項目はカバーされています。ただし、次の点に注意してください。
- 年齢によって項目が違う。35歳未満では、血液検査などが省略される場合があります
- 婦人科系・泌尿器科系の項目は含まれない。子宮頸がん検診や、男性の項目は別途受ける必要があります
- 風疹抗体や甲状腺は含まれないことが多い。妊娠を考えるなら、追加で受ける価値があります
- 結果を見返していない方が多い。「異常なし」以外の記載があれば、内容を確認してください
まずは手元にある直近の健診結果を見直すところから始めるのが、いちばん手軽です。
受けるタイミング
結婚や妊娠を考え始めた時点で構いません。次のような区切りが目安になります。
- 交際が結婚を意識する段階に進んだとき
- 妊娠を考え始める3〜6か月前(生活習慣を整える時間を取れます)
- 会社の健診で気になる数値が出たとき
結果に問題が見つかった場合でも、多くは生活の見直しや治療で対応できます。早く知るほど、選択肢が多く残ります。
健診と人間ドックの、違い
「健康診断」と一口に言っても、種類によって調べる範囲がまったく違います。
| 種類 | 費用 | 調べる範囲 |
|---|---|---|
| 職場の定期健診 | 勤務先が負担 | 法律で定められた項目が中心。範囲は限定的です |
| 自治体の健診 | 無料〜数千円 | 年齢や加入している保険によって内容が異なります |
| 人間ドック | 数万円〜 | 項目が広く、画像検査なども含まれます |
| ブライダルチェック | 自費 | 妊娠・出産に関わる項目が中心 |
職場の健診だけでは、確認できないことがあります。とくに、感染症、甲状腺の状態、婦人科系・泌尿器科系の項目は、通常の健診には含まれていないことがほとんどです。
結婚を控えた時期に必要なのは、この「含まれていない部分」です。職場の健診を受けているから大丈夫、とはならない点に注意してください。
妊娠に関わる項目については、女性のブライダルチェックと男性のブライダルチェックにまとめています。
年代別に、優先したい項目
すべてを受ける必要はありません。年代によって、優先度が変わります。
20代
- 基本的な血液検査。貧血、肝機能、血糖、脂質
- 感染症の検査。自覚症状がないまま経過するものがあります
- 子宮頸部の検診(女性)。若い年代でも対象になります
- 風疹の抗体(女性・パートナーも)
30代
- 上記に加えて、甲状腺の機能
- 婦人科の超音波検査。子宮筋腫などは、この年代から増えます
- 血圧、体重の推移の確認
40代以降
- 上記に加えて、がん検診。胃、大腸、乳房、肺など
- 心電図、必要に応じて画像検査
- 骨密度(女性)
年代にかかわらず確認しておきたいのが、感染症と風疹の抗体です。とくに風疹は、抗体が不十分な場合、接種後に一定期間の避妊が必要になるため、時期の計画に関わります。早めに確認しておいてください。
結果を、どう扱うか
受けたあとの扱いも、大切です。
1. 「要精密検査」を、放置しない。いちばん多い問題がこれです。結果を受け取ったまま、何もしない方が非常に多いのです。指示された場合は、必ず受診してください。
2. 数値の意味を、確認する。基準値から少し外れているだけの場合と、対処が必要な場合があります。インターネットで調べて不安になるより、説明を受けてください。
3. 結果を保管する。毎年の結果を残しておくと、変化が分かります。1回の数値より、推移のほうが重要です。
4. パートナーと共有するかを考える。結婚を決める段階では、健康に関わる情報は共有しておくほうが、後で問題になりません。ただし、いつ、どこまで話すかは自分で決められます。
5. 生活の見直しにつなげる。受けただけでは、何も変わりません。指摘された項目について、何をするかを決めてください。体重であれば3か月の体づくりを参考に。
パートナーと、どう話すか
健康の話は、切り出しにくいものです。言い方を用意しておいてください。
一緒に受けようと誘うとき
お互いに何もなければ、それで安心できるし。
ポイントは、「二人で受ける」形にすること。片方だけに勧めると、疑っているように受け取られます。
結果を共有するとき
この先のことに関わるかもしれないので、知っておいてほしくて。
伝えるべき内容
- 治療中の病気、服用中の薬
- 妊娠・出産に関わる可能性のあること
- 遺伝に関わる可能性があり、気になっていること
- 継続的な通院や、費用がかかること
この話ができるかどうか自体が、相手を知る機会になります。一緒に考えてくれるか、避けるか。結婚してから直面するより、先に分かるほうが、はるかに良いことです。
受けるタイミングと、段取り
いつ受けるか。逆算して決めてください。
結婚が決まっている場合。入籍の3〜6か月前が目安です。理由は、治療やワクチンが必要になった場合に、時間が要るからです。直前だと、対処が間に合いません。
交際中で、結婚を意識し始めた場合。この時期に受けておくと、話し合いの材料になります。
相手がいない段階でも、受ける意味があります。自分の状態を知っておくと、婚活の進め方や時期の考え方が具体的になります。漠然と不安でいるより、事実を知るほうが落ち着きます。
段取り
- 1. 職場の健診の結果を、まず見返す。すでに分かっていることを確認します
- 2. 足りない項目を洗い出す。感染症、甲状腺、婦人科・泌尿器科系
- 3. 予約する。予約時に、目的(結婚を控えている)を伝えると、項目を提案してもらえます
- 4. 結果の説明を受ける。数値を渡されるだけで終わらせないこと
- 5. 必要な対処を始める
結婚までの全体の流れは、結婚までの流れにまとめました。健康の確認も、その中に組み込んでおいてください。
二人で受けるときの、段取り
結婚を控えて受ける場合、二人で受けると効率がよくなります。段取りを決めておいてください。
1. 目的を、先に共有する。「結婚前に、お互いの状態を確認しておこう」。疑うためではないことを、はっきりさせてください。
2. 受ける項目を、相談して決める。男女で必要な項目が違います。共通で受けるもの(感染症、一般的な血液検査)と、それぞれの項目に分けて考えてください。
3. 同じ日に受けられる施設を探す。ブライダルチェックをカップルで受けられる医療機関があります。予約時に「二人で」と伝えてください。
4. 費用の負担を、決めておく。それぞれ自分の分を払うか、まとめるか。些細なことですが、決めておくと当日もめません。
5. 結果を、どう共有するか決めておく。すべて見せ合うか、必要な部分だけか。受ける前に話しておいてください。結果が出てから決めようとすると、隠しているように見えることがあります。
6. 結果が悪かった場合の対応も、先に話しておく。「何かあっても、一緒に考えよう」。この一言があるかどうかで、結果を受け取るときの気持ちがまったく違います。
この段取りを二人で決められるかどうか自体が、これからの関係の予行演習になります。
持病がある場合の、進め方
持病があると、結婚に踏み出せないと感じる方がいます。整理しておいてください。
伝えるべき内容
- 病名と、いまの状態
- 日常生活への影響。できること、難しいこと
- 治療の内容と、通院の頻度
- 費用。継続的にかかる場合は、家計に関わります
- 妊娠や出産に関わる場合は、その点も
- 必要な配慮があれば、具体的に
伝えるタイミング
プロフィールには書かなくて構いません。交際が始まって、関係が安定してから。遅くとも、結婚を意識する段階までには伝えてください。
伝え方
日常生活には支障がなくて、〇〇に気をつけていれば大丈夫です。
この先のことに関わるので、知っておいてほしくて。
深刻に語りすぎないでください。淡々と、事実として伝えるほうが、相手も落ち着いて受け止められます。
相手の反応
受け入れる人のほうが多い——これは、覚えておいてください。そして、受け入れられなかった場合、結婚してから知られて問題になるより、この段階で分かるほうが、はるかに傷が浅く済みます。
そして、持病を理由に婚活をあきらめないでください。同じような状況の方も、多くいます。先に伝えて、理解のある方と出会うほうが、確実です。
相談先
内科で相談できます
健康診断の内容は、年齢や目的によって適したものが変わります。何を受けるべきか分からない段階でも、相談して構いません。会社の健診結果を持参すれば、追加で必要な項目を検討できます。
よくある質問
費用はどれくらいかかりますか?
相手にも受けてもらうべきですか?
結果を相手に見せる必要はありますか?
持病があります。相手に伝えるべきですか?
費用を抑えたいのですが。
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