ブライダルチェックは女性が受けるもの、という印象があるかもしれません。けれど、妊娠に関わる要因のうち男性側にあるものは決して少なくありません。何を調べるのか、どこで受けられるのかを説明します。
男性側の要因は珍しくない
妊娠しにくい状態の原因を調べると、男性側に要因がある場合、女性側にある場合、両方にある場合、はっきりしない場合のいずれもあります。男性側だけ、あるいは両方に関わっているケースは、全体のなかで相当な割合を占めることが知られています。
にもかかわらず、検査を受けるのは女性が先、ということが多くあります。男性の検査は比較的簡単で、体への負担も小さいので、同じ時期に受けておくほうが合理的です。
主な検査項目
| 検査 | 何が分かるか |
|---|---|
| 精液検査 | 精子の数、動き、形の状態。男性側の検査の中心になります |
| 視診・触診 | 精索静脈瘤など、精子を作る働きに影響する状態の有無 |
| 性感染症検査 | クラミジア、淋菌、梅毒、HIVなど。自覚症状がないことがあります |
| 血液検査(ホルモン) | テストステロンなど、精子形成に関わるホルモンの状態 |
| 一般的な血液検査 | 血糖、肝機能など。生活習慣病は妊娠にも関係します |
精液検査で分かること・分からないこと
精液検査では、精液の量、精子の濃度、運動している精子の割合、形が正常な精子の割合などを調べます。
精液の状態は、体調、睡眠、禁欲期間、季節などによって大きく変動します。1回の検査結果が思わしくなくても、時期を変えて再検査すると違う結果になることは珍しくありません。医師も通常、複数回の結果を見て判断します。1回の数値で落ち込まないでください。
また、精液検査は「妊娠できるかどうか」を判定するものではありません。あくまで現在の状態を示す情報のひとつです。結果の解釈は、必ず医師の説明を受けてください。
受けるタイミングと、当日の流れ
検査前は、2〜7日程度の禁欲期間を求められるのが一般的です。短すぎても長すぎても結果に影響するため、指示に従ってください。
採取は医療機関の個室で行う場合と、自宅で採取して持参する場合があります。自宅採取の場合は、採取後の時間経過で状態が変わるため、指定された時間内に持ち込む必要があります。
結果は当日または後日に説明されます。所要時間は、採取を含めて30分から1時間程度が目安です。
検査を受ける前に、知っておくこと
精液検査を受けるにあたって、結果に影響する条件があります。知らずに受けると、正確な状態が分かりません。
- 禁欲期間。採取前に、一定の期間を空けるよう指示されます。短すぎても長すぎても結果に影響します。医療機関の指示に従ってください
- 体調。発熱や強い疲労のあとは、一時的に結果が変わることがあります
- 採取から検査までの時間。自宅で採取する場合、指定された時間内に持ち込む必要があります。温度管理の指示も守ってください
- 採取の方法。指定された容器を使い、途中から採るのではなく全量を採ります
そして、いちばん大切なこと。精液検査の結果は、そのときの体調や条件で大きく変動します。1回の結果だけで判断せず、期間を空けて2回受けることが勧められるのは、このためです。
1回目の結果が思わしくなくても、そこで結論を出さないでください。これは、覚えておいていただきたい点です。
当日の流れと、心理的なハードル
受診をためらう理由の多くが、「どういう流れになるのか分からない」ことにあります。
1. 予約する。電話やインターネットで。「ブライダルチェックを受けたい」と伝えれば通じます。
2. 問診。これまでの病気、手術(とくに小児期の鼠径部の手術)、服用中の薬、生活習慣、喫煙、飲酒。おたふくかぜにかかったことがあるかを聞かれることもあります。
3. 診察。視診・触診が行われる場合があります。不安があれば、事前に何をするか聞いておいてください。
4. 検査。精液検査、血液検査(感染症、ホルモンなど)。採取は個室で行われ、自宅で採取して持ち込める場合もあります。
5. 結果説明。後日になることが多く、その際に今後の方針を相談します。
心理的な負担について。この検査を受けることに抵抗を感じるのは、ごく自然なことです。ただ、医療機関にとっては日常的な検査です。特別な目で見られることはありません。自宅で採取できる医療機関を選ぶと、負担がかなり軽くなります。予約時に確認してみてください。
結果に影響する、生活の要因
検査の結果が思わしくなかった場合、生活の中に改善できる要因があることがあります。
- 喫煙。影響が指摘されています。減らす・やめることは、取り組める対策のひとつです
- 過度の飲酒
- 肥満。体重の管理が勧められることがあります(3か月の体づくり)
- 長時間の高温環境。サウナ、長風呂、膝の上でのノートパソコンの使用などが指摘されることがあります
- 締めつけの強い下着
- 睡眠不足、強いストレス
- 一部の薬。服用中の薬は、必ず申告してください
これらを整えることで、結果が変わる場合があります。ただし、変化が現れるまでには数か月かかります。精子が作られる過程には一定の期間が必要なためです。
また、生活習慣とは別に、治療の対象となる状態が見つかることもあります。その場合は、自己流の対処ではなく、医師の判断に従ってください。
結果の受け止め方
結果を前にしたとき、受け止め方で、その後がずいぶん変わります。
1. 数値は「そのときの状態」です。体調、禁欲期間、季節によって変動します。1回の結果を確定的なものとして受け取らないでください。
2. 基準を下回っていても、妊娠しないという意味ではありません。逆に、基準を満たしていても、他の要因が関わることがあります。数値は目安であって、断定ではありません。
3. 対処できることが多くあります。生活習慣、治療、そして生殖医療。選択肢は複数あります。
4. あなたの価値とは、無関係です。ここを混同すると、必要以上に苦しくなります。体の状態を知ることと、自分を評価することは、まったく別のことです。
5. 早く知るほど、選択肢が多い。これが、受ける最大の意味です。時間が経つほど、取れる手は限られていきます。
結果について、必ず医師の説明を受けてください。数値だけを見て、インターネットで調べて悲観するのが、いちばん避けたいことです。
パートナーと、どう話すか
検査の話題は、切り出しにくいものです。言い方を用意しておいてください。
誘うとき
何かあってからだと選択肢が狭くなるみたいだから、いま知っておきたくて。
ポイントは、「二人で受ける」形にすること。片方だけに受けさせる形にすると、疑っているように受け取られます。妊娠に関わる要因は、男女どちらにもあり得ます。だからこそ、二人で確認するのが自然です。
結果を共有するとき
対処できることもあるみたいだから、これからのことを一緒に考えてほしい。
結婚を決める前に、この話ができるかどうか。これ自体が、相手を知る機会になります。一緒に考えてくれる相手かどうかが、ここで分かります。
女性側の検査については女性のブライダルチェックを、年齢と妊娠の関係は年齢と妊娠をご覧ください。
どこで受けるか
男性の場合、受診先が分かりにくいことが、足を止める理由になっています。整理しておきます。
| 受診先 | 特徴 |
|---|---|
| 泌尿器科 | 男性の体全般を扱います。男性医師が中心で、相談しやすいと感じる方が多い |
| 男性不妊を扱う専門外来 | より詳しい検査と、その後の治療まで対応できます |
| 生殖医療の施設 | パートナーと一緒に受けられる場合があります |
| 健診施設のブライダルチェック | 検査中心。異常があれば、専門の医療機関を紹介されます |
選ぶときの目安
- 自宅で採取して持ち込めるか。これが可能だと、心理的な負担が大きく減ります
- 予約時に、目的を伝えやすいか。「ブライダルチェックを希望します」で通じます
- 結果の説明を、医師から直接受けられるか
- 異常が見つかった場合、その後の対応ができるか
パートナーがいる場合は、二人で受けられる施設を選ぶと、話が早く進みます。同じ日に、それぞれの検査を受けられるところもあります。
そして、費用と項目を、予約時に確認してください。コースになっているか、必要な項目だけ選べるか。医療機関によって異なります。
結果が思わしくなかった場合の、次の一歩
ここが、いちばん不安な部分だと思います。実際に何が起きるのかを知っておいてください。
1. まず、再検査になることが多い。精液の状態は、体調や条件で大きく変動します。1回の結果で確定させることはありません。期間を空けて、もう一度調べます。
2. 原因を探す検査が行われることがある。血液検査によるホルモンの確認、超音波検査など。原因が特定できれば、対処の方向が決まります。
3. 生活習慣の見直しを勧められる。禁煙、体重の管理、高温環境を避ける、睡眠。これらで変化が見られる場合があります。ただし、数か月かかります。
4. 治療の対象となる状態が見つかることがある。その場合、治療によって改善が期待できることがあります。
5. 生殖医療という選択肢がある。状態に応じて、複数の方法があります。「妊娠できない」という結論に、すぐ至るわけではありません。
つまり、結果が思わしくなくても、そこから道が分かれていきます。そして、早く知るほど、選べる道が多く残ります。
この結果は、多くの男性にとって受け止めるのが難しいものです。自分の価値を否定されたように感じる方もいます。けれど、これは体の状態であって、人としての評価ではありません。パートナーがいる場合は、共有してください。一緒に考えてくれるかどうかも、大切なことです。
相談先
泌尿器科で受けられます
精液検査や性感染症の検査は泌尿器科で受けられます。恥ずかしさから受診をためらう方が多いのですが、日常的に行われている検査です。プライバシーに配慮した体制で対応しています。
よくある質問
恥ずかしくて受けにくいのですが。
結果が悪かったら、治療はできますか?
パートナーに検査結果を伝えるべきですか?
婚活中でも受けられますか?
症状も心当たりもありませんが、受ける意味はありますか?
結婚前に受けるのは、早すぎませんか?
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