誰にも相談できないまま、一人で抱えている方が多い悩みです。婚活や交際に影響することもありますが、原因が特定でき、対応できる場合が少なくありません。相談先と、受診の流れを説明します。
珍しいことではありません
ED(勃起不全)は、加齢だけでなく、ストレス、疲労、生活習慣病、服用中の薬など、さまざまな要因で起こります。年齢を問わず、多くの方が経験しうる状態です。
それでも受診率が低いのは、恥ずかしさと「相談する場所が分からない」という理由が大きいと言われます。泌尿器科では日常的に扱っている相談なので、特別なことではありません。
原因は大きく3つに分かれる
| 種類 | 背景 |
|---|---|
| 心理的な要因 | 緊張、不安、過去の経験、ストレス。特定の場面でだけ起こることがあります |
| 身体的な要因 | 血管や神経の状態。糖尿病、高血圧、脂質異常症などが関わる場合があります |
| 薬の影響 | 降圧薬、抗うつ薬など、服用中の薬が関係することがあります |
EDは、血管の状態を反映していることがあります。糖尿病や動脈硬化が背景にあり、EDが最初に気づくきっかけになる場合も知られています。「歳のせい」と片付けず、一度診てもらう意味はここにあります。原因も対処法も個人差があるため、判断は医師の診察を受けたうえで行ってください。
受診の流れ
一般的には、次のように進みます。
- 問診。いつから、どういう状況で起こるか、既往症や服用中の薬を確認します
- 必要に応じて検査。血液検査などで、背景にある病気の有無を調べます
- 方針の相談。原因に応じて、生活習慣の見直し、内服治療などを検討します
ED治療薬は自費診療となるのが一般的です。また、心臓の薬(硝酸薬)など、併用できない薬があります。服用中の薬は必ず申告してください。個人輸入や通販で入手した薬には偽造品が含まれる例が報告されており、危険です。
パートナーにどう伝えるか
伝えないまま関係が進むと、相手が「自分に魅力がないからだ」と受け取ってしまうことがあります。これは双方にとって不幸な誤解です。
- 体の状態として伝える。「疲れやストレスで、うまくいかないことがある」
- 相手のせいではないと明確にする。ここが最も重要です
- 受診していることを伝える。向き合っている姿勢が伝われば、相手も安心します
体のサインに、気づいてください
この悩みで、いちばん知っておいていただきたいことがあります。
血管や神経の状態が関わっている場合があり、他の病気の初期のサインとして現れることがあると指摘されています。
関連が指摘されている状態には、次のようなものがあります。
- 高血圧
- 糖尿病
- 脂質異常症
- 喫煙による血管への影響
- 肥満、運動不足
- 睡眠時の呼吸の問題
つまり、この悩みで受診することが、全身の健康状態を確認するきっかけになる場合があります。
恥ずかしさから受診をためらう方が多いのですが、「症状そのもの」より「背景にあるかもしれない状態」のほうが重要です。健康診断を長く受けていない方は、この機会にあわせて確認しておいてください。結婚前の健康診断もご覧ください。
生活の中で、見直せること
受診と並行して、生活の中で取り組めることがあります。
- 禁煙。血管の状態に関わるため、影響が指摘されています
- 体重の管理。肥満との関連が指摘されています(3か月の体づくり)
- 運動。とくに有酸素運動の効果が報告されています
- 睡眠。睡眠不足はホルモンの状態に関わります
- 飲酒を控える。過度の飲酒は影響します
- ストレスへの対処
これらは、すぐには結果が出ません。数か月単位で取り組むものです。
そして、服用中の薬が関わっている場合があります。血圧の薬、精神科の薬など、影響が指摘されているものがあります。自己判断で薬をやめないでください。必ず、処方した医師に相談してください。
自己判断でやめると、元の病気が悪化する危険があります。これは、必ず守ってください。
受診の実際と、心理的な壁
受診をためらう最大の理由が、恥ずかしさです。実際の流れを知っておくと、少し楽になります。
1. 問診。いつからか、どういう状況で起こるか、持病、服用中の薬、生活習慣。質問票に記入する形の医療機関も多くあります。
2. 状況の確認。朝の状態や、特定の場面でどうかを聞かれることがあります。これは、原因を絞り込むための質問です。
3. 血液検査など。血糖、脂質、ホルモンなど。背景にある状態を確認します。
4. 方針の相談。生活の見直し、必要に応じた治療。
身体の診察を伴わない場合も多くあります。不安な場合は、予約時に確認してください。
オンライン診療に対応している医療機関もあります。対面が難しい場合の選択肢になります。ただし、血液検査など、対面でしか行えない確認もあります。背景に別の状態がある可能性を考えると、一度は対面での受診をおすすめします。
医療機関にとっては、日常的な診療です。特別な目で見られることはありません。
薬について、知っておくべきこと
治療薬が処方される場合がありますが、知っておくべき注意点があります。
1. 使えない場合があります。とくに、心臓の薬(硝酸剤など)を服用している方は、併用が禁止されています。重大な事態につながる可能性があります。だからこそ、必ず診察を受けてから使う必要があります。
2. 個人輸入は避けてください。インターネットで入手できる製品の中には、成分が表示と異なるもの、有効成分を含まないもの、健康被害を招く成分が含まれるものがあることが報告されています。安さと引き換えにするリスクが、大きすぎます。
3. 副作用があります。頭痛、顔のほてり、鼻づまりなど。気になる症状が出た場合は、相談してください。
4. 保険は適用されません。原則として自費診療です。ただし、背景にある病気の検査や治療には、保険が適用される場合があります。
5. 薬だけで解決するとは限りません。心理的な要因が関わっている場合、薬とあわせて別の対処が必要になることもあります。
必ず、診察を受けたうえで使用してください。これは、安全に関わることです。
パートナーとの、向き合い方
この悩みは、ひとりで抱えるほど大きくなります。
伝えることの意味。黙っていると、相手は「自分に魅力がないのか」「関心がないのか」と考えてしまうことがあります。誤解が生まれると、関係そのものに影響します。
伝え方の例
〇〇さんのせいではまったくなくて、いま病院で相談しているところです。
心配をかけたくなかったんだけど、黙っているほうが良くないと思って。
ポイントは、「相手のせいではない」とはっきり伝えること。ここを言葉にしないと、相手は自分に原因があると考えます。
結婚を考えている場合。子どもを希望するかどうかも含めて、話し合っておく必要があります。対処できる方法があることも、あわせて伝えてください。
そして、焦らないでください。心理的な要因が関わっている場合、焦りそのものが状況を難しくします。「うまくいかなくても構わない」と言い合える関係を作るほうが、結果的に近道になることがあります。
妊娠を考える段階であれば、男性のブライダルチェックもあわせてご覧ください。この悩みと、妊娠に関わる状態は、別の問題です。両方を確認しておくと、見通しが立てやすくなります。
受診先の選び方
どこに行けばいいか分からない、という理由で受診が遅れることがあります。整理しておきます。
| 受診先 | 特徴 |
|---|---|
| 泌尿器科 | 基本の受診先です。男性の体全般を扱い、背景にある状態も確認できます |
| 内科・かかりつけ医 | 血圧、血糖、脂質など、背景にある生活習慣病の確認から始められます |
| 男性外来・メンズヘルス外来 | この分野を専門に扱う外来。相談しやすい環境が整えられています |
| オンライン診療 | 通院の負担は減りますが、血液検査など対面でしかできない確認があります |
おすすめは、一度は対面で受診することです。背景に別の状態が隠れている可能性を考えると、血液検査を含めた確認をしておく意味があります。
オンライン診療について、注意点
- 問診だけで薬が処方される場合、背景の確認がされていない可能性があります
- 併用してはいけない薬があるため、服用中の薬は必ず正確に申告してください
- 「診察なしで購入できる」とうたうものは、医療機関ではありません。個人輸入の代行にあたる可能性があり、危険です
予約時に伝えること
「男性の相談で」で通じます。詳しく説明する必要はありません。医療機関にとっては、日常的な診療です。
婚活の場面で、どう考えるか
この悩みを抱えていると、婚活そのものに踏み出せなくなることがあります。整理しておいてください。
1. プロフィールに書く必要は、まったくありません。健康に関する情報は、極めて個人的なものです。
2. 交際が始まる前に、伝える必要もありません。関係ができてから、必要になった段階で構いません。
3. 婚活を止める理由には、なりません。会って話すこと、関係を作ることに、この悩みは関係しません。先に進めてください。
4. 並行して、受診を進める。時間はかかりますが、対処できる場合が少なくありません。そして、背景にある健康状態の確認にもなります。
5. 焦らないこと。心理的な要因が関わっている場合、焦りそのものが状況を難しくします。「うまくいかなくても構わない」と言い合える関係を作るほうが、結果的に近道になることがあります。
6. 相手を選ぶときに、話し合える人かどうかを見る。これが、いちばん実際的な助言かもしれません。体のことを含めて話し合える相手かどうかは、結婚生活の質を大きく左右します。
この悩みは、誰にも相談できないまま何年も過ぎることがあります。けれど、医療機関にとっては日常的な相談です。そして、背景に治療できる状態が隠れていることもあります。「年齢のせい」と決めつけて放置すると、他の病気の発見も遅れます。一度、確認してみる価値があります。
よくある質問
若くてもEDになりますか?
受診が恥ずかしいのですが。
通販で薬を買うのはだめですか?
年齢のせいだと思って、諦めていました。
特定の場面でだけ起こります。
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