恋愛目的を装った勧誘は、投資だけではありません。副業、宗教、セミナー、ネットワークビジネス。それぞれ話の持ち出し方が違います。種類別の特徴と、角を立てずに離れる方法をまとめました。
勧誘は4種類ある
| 種類 | 持ち出し方 | 目的 |
|---|---|---|
| 投資 | 「将来のために資産を作ろう」「自分はこれで生活が変わった」 | 金銭の詐取、または紹介料 |
| 副業・情報商材 | 「在宅で稼げる方法がある」「教材を紹介したい」 | 教材の販売、会員登録 |
| ネットワークビジネス | 「いい商品を扱っていて」「友人を紹介したい」 | 組織への加入 |
| 宗教・セミナー | 「人生観が変わる集まりがある」「先生に会ってほしい」 | 信者・会員の獲得 |
目的は違っても、恋愛を入口として使っている点は共通です。相手にあなたと交際する気はありません。
共通する切り出し方
どの種類でも、いきなり本題には入りません。次の順序をたどります。
- 共感を示す。仕事の愚痴や将来の不安を丁寧に聞いてくれます
- 自分の「変化」を語る。「以前は同じように悩んでいたが、あることをきっかけに変わった」
- 興味を引き出す。「気になる?」と聞いて、こちらから聞かせる形にする
- 人や場に連れて行く。「詳しい人がいる」「集まりがある」
勧誘だと言われないために、相手はあくまで「聞かれたから答えた」という形を作ります。自分から興味を示してしまったと感じても、それは仕組まれた流れです。責任を感じる必要はありません。
会ってから分かるパターン
メッセージの段階では普通で、会ってから始まることもあります。
- 3人目が現れる。「たまたま近くにいる友人を呼んでいい?」と言われたら、その場を離れてください。ほぼ確実に勧誘です
- 場所がカフェではなく、事務所やレンタルスペース。指定された場所が不自然なら行かないでください
- 話題が徐々に「お金」「自由」「成功」に寄る。恋愛の話をしていたはずが、いつのまにか人生論になっている
- 次に会う約束が「イベント」になる。二人で会う話が、集まりへの参加にすり替わる
断り方と、離れ方
その場では
- 「興味がないので大丈夫です」とだけ言う。理由は述べない
- 資料や書籍を渡されても受け取らない
- 連絡先の交換を求められても断る
- 長引くようなら「用事があるので」と席を立つ
議論しないでください。相手は説得の訓練を受けていることがあり、こちらの反論には答えが用意されています。話が長引くだけです。
その後
- アプリでブロックし、通報する
- LINEを交換していたらブロックする
- しつこく連絡が来る場合は、着信拒否と、警察相談専用電話「#9110」への相談も検討する
なぜ、恋愛が入口に使われるのか
勧誘する側から見て、マッチングアプリには都合のいい条件が揃っています。仕組みが分かると、身構えるべき場面もはっきりします。
信頼を作るのが早い。通常、見知らぬ相手が投資や副業の話をしても、まず聞いてもらえません。ところが恋愛の文脈では、相手のことを知ろうとするのが自然な態度です。質問に答えてくれる状態が、最初から用意されているわけです。
断りにくい関係ができる。何度か会って、楽しい時間を過ごしたあとです。ここで冷たく断ることに、心理的な抵抗が生まれます。勧誘する側は、この抵抗が生まれるまで待っています。
年齢や年収の情報が、先に手に入る。プロフィールに書かれているため、誰に声をかけるかを選べます。20代後半から30代の、収入がある程度あって、将来に不安を感じている層が狙われやすいのはこのためです。
組織的に指導されている場合がある。ネットワークビジネスでは、上位の会員が下位の会員に勧誘方法を教える構造があります。「まず信頼関係を作れ」「商品の話は3回目から」といった手順が共有されていることがあり、目の前の相手が、教わったとおりに動いているケースがあります。
つまり、あなたが油断していたから引っかかるのではありません。引っかかるように設計された手順が存在しているということです。
実際に使われる言い回し
切り出し方には、驚くほど共通した型があります。この言葉が出てきたら、そのあとの展開はほぼ決まっています。
| 出てくる言葉 | 次に来る展開 |
|---|---|
| 「人生が変わるきっかけがあって」 | 体験談の共有 → セミナーや師匠の紹介 |
| 「尊敬している人がいるので会ってほしい」 | 第三者を同席させ、二対一の構図を作る |
| 「将来のお金のこと、考えてる?」 | 不安を喚起 → 投資・保険の提案 |
| 「今は自由な働き方をしていて」 | 副業・情報商材の販売 |
| 「勉強会があるから来てみない?」 | 会場に連れ出し、その場で契約させる |
| 「あなたには可能性があると思う」 | 特別扱いで承認欲求を刺激 → 加入の勧め |
| 「宗教とかじゃないから安心して」 | 先回りの否定。ほぼその話です |
共通しているのは、「二人の関係の話」から「第三者・場所・お金の話」へ移るという流れです。恋愛の会話に、なぜか外部の人物や場所が登場したら、そこが分岐点だと考えてください。
セミナーや食事会に誘われたときの実務
「行ってから断ればいい」と考える方がいますが、その場は断りにくいように作られています。行かないのがいちばんですが、行く場合は次を守ってください。
- 誰が来るかを事前に確認する。「二人だと思っていたら、相手の知人が3人いた」というのが典型的な構図です。人数が増えるなら行かない
- 場所を確認する。個人宅、レンタルスペース、貸し会議室は要注意です。人目のある店を指定してください
- 身分証と印鑑、クレジットカードを持っていかない。その場で契約させる手口に対して、物理的に応じられない状態を作ります
- 終わりの時間を先に伝える。「19時に用事があります」と最初に言っておくと、抜けられます
- その場で決めない。「持ち帰って考えます」で通してください。「今日だけ」「今決めれば」と急がされたら、それは断るべき理由です
勧誘の多くは、「考える時間を与えない」ことで成立します。だからこそ「一度持ち帰る」と言えるかどうかが分かれ目です。まっとうな話であれば、1週間待っても消えません。急かす相手は、急かさなければ成立しない話をしています。
契約してしまったあとに、取り消せる制度
すでに契約や購入をしてしまった場合でも、法律で取り消せる仕組みがあります。期限があるので、気づいた時点ですぐ動いてください。
| 取引の種類 | クーリング・オフの期間 |
|---|---|
| 連鎖販売取引(ネットワークビジネス、いわゆるMLM) | 契約書面を受け取った日から20日間 |
| 訪問販売・電話勧誘販売 | 8日間 |
| 特定継続的役務提供(エステ、語学教室など) | 8日間 |
| 業務提供誘引販売取引(内職・モニター商法) | 20日間 |
手続きのポイントは3つです。
1. 書面で通知する。電話だけで済ませないでください。はがきに「契約を解除します」と書き、契約日・商品名・金額・氏名を記載します。電磁的記録(メールなど)でも可能になりましたが、記録が残る形にすることが重要です。
2. 両面をコピーし、特定記録郵便か簡易書留で送る。送った証拠が残ります。コピーは必ず手元に保管してください。
3. 期限を過ぎていても、あきらめない。契約書面が渡されていない、あるいは記載に不備がある場合、期間はまだ始まっていないと扱われることがあります。嘘の説明で契約させられた場合は、消費者契約法による取消しも検討できます。
判断に迷ったら、消費者ホットライン「188」に電話してください。最寄りの消費生活センターにつながり、手続きの進め方を無料で教えてもらえます。相談は早いほど選択肢が多く残ります。
ネットワークビジネスの、進み方
種類の中でも、もっとも構造がはっきりしているのがこれです。進み方を知っておくと、途中で気づけます。
1. 恋愛として始まる。数回会って、良い関係ができます。この期間、商品の話は一切出ません。
2. 生活や将来の不安を、聞き出される。「仕事はどう?」「将来のお金のこと、考えてる?」。これは共感ではなく、次の段階の準備です。
3. 自分の変化を語る。「実は最近、始めたことがあって」「収入が増えて、時間も自由になった」
4. 第三者が登場する。「尊敬している人がいて、会ってみない?」。ここが分かれ目です。二対一、あるいは三対一の構図が作られます。
5. 場所に連れて行かれる。セミナー、勉強会、ホームパーティー。その場の全員が関係者、という状況が作られます。
6. その場で契約を求められる。「今日だけ」「今なら」。考える時間を与えないことが、この手順の要です。
7. 断ると、態度が変わる。連絡が減る、あるいは説得が続く。ここで、恋愛が目的ではなかったことがはっきりします。
気づくべき地点は、4番目です。恋愛のやりとりに、なぜか第三者が登場する。ここで距離を取れば、被害は生じません。
宗教の勧誘に、特有の形
宗教に関わる勧誘は、他の種類とは進み方が違います。お金の話が、すぐには出ないためです。
特徴
- 最初に否定される。「宗教とかじゃないから安心して」。先回りの否定は、それ自体が手がかりです
- 悩みを、深く聞かれる。家族のこと、過去のつらい経験。親身に聞いてくれるので、信頼が生まれます
- 「集まり」に誘われる。勉強会、お茶会、ボランティア。宗教の名前は出ません
- その場の雰囲気が、非常に良い。全員が親切で、受け入れてくれます。ここが、抜けにくくなる理由です
- 段階的に、関わりが深くなる。集まりの回数、役割、そして活動への参加
- 金銭は、後から出てくる。寄付、教材、行事への参加費
- 交際の条件として、信仰を求められる場合がある
信仰そのものは、個人の自由です。問題なのは、それを伏せて恋愛の形で接近することのほうです。
確かめ方は簡単です。「その集まりは、どういう団体が主催しているんですか」と聞いてみてください。正面から答えるかどうかで、判断できます。はぐらかされたら、そこが答えです。
離れ方
その場で議論しないでください。「私は関わらないことにします」と一度伝えて、あとは連絡を絶つ。説得しようとすると、長引きます。すでに深く関わってしまった場合は、ひとりで抜けようとせず、家族や、公的な相談窓口に相談してください。消費生活センター(188)でも、金銭が絡む場合は相談できます。
よくある質問
本当に善意で勧めている人もいるのでは?
すでに商品を買ってしまいました。
断ったあとに逆上されませんか?
誘ってきた相手を、恨むべきでしょうか。
断ったあと、共通の知人に悪く言われないか心配です。
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