相手のことを知りたいのと同じく、相手もあなたを知りたがります。ただ、どこまで話すかには線引きが必要です。会うまでに伏せておくべき情報と、伝えても問題ない情報を整理しました。
情報は「組み合わせ」で特定される
ひとつずつは無害な情報でも、重なると個人が特定できてしまいます。
たとえば「都内のIT企業」「30歳」「大学は◯◯」「よく行くのは△△駅のカフェ」。この4つだけで、SNSと突き合わせれば本人にたどり着ける場合があります。危険なのは個々の情報ではなく、蓄積です。
相手に悪意がなくても、情報が第三者に渡る可能性はあります。「この人なら大丈夫」という判断は、会って人柄を知ってからで十分です。
会うまで伏せる情報/伝えていい情報
| 内容 | |
|---|---|
| 伏せる | 本名(フルネーム)/勤務先の会社名/自宅の最寄り駅・住所/通っているジムや行きつけの店の名前/SNSのアカウント/子どもの学校名 |
| 伝えていい | 下の名前かニックネーム/おおまかな居住エリア(「◯◯市」程度)/業種(「IT関係」「医療系」)/趣味/休日の過ごし方/結婚についての考え |
会話に困ることはありません。「どこに住んでいますか」には「◯◯駅の近くです」ではなく「◯◯市のあたりです」と答えれば、会話は続きます。
写真から漏れる情報
プロフィール写真は、思っている以上に情報を含んでいます。
- 背景の建物や看板。自宅や職場の周辺が特定されます
- 制服や社名入りの物。勤務先が分かります
- 車のナンバープレート。写り込みに注意してください
- 他のSNSと同じ写真。画像検索でアカウントが見つかります。これがいちばん多い経路です
マッチングアプリ用に、別の写真を用意してください。同じ写真を使っていると、画像検索であなたのInstagramやXが見つかり、投稿から生活圏や交友関係まで読み取られてしまいます。
聞かれたときの答え方
相手に悪気がなくても、早い段階で詳しく聞かれることがあります。角を立てずに済む答え方を用意しておくと楽です。
- 会社名を聞かれたら → 「小さい会社なので分からないと思います。◯◯関係の仕事です」
- 最寄り駅を聞かれたら → 「◯◯線沿いです。会うときは出やすいところで大丈夫です」
- SNSを聞かれたら → 「あまり更新していなくて。LINEなら会ってからでもいいですか」
- 本名を聞かれたら → 「会うときにお伝えしますね」
ここで機嫌を損ねる相手なら、その時点で見極めがつきます。誠実な人は「そうですよね」と受け止めます。
SNSと突き合わせると、特定は一気に進む
アプリの中だけを見れば大した情報でなくても、SNSと照らし合わせた瞬間に、個人が絞り込まれることがあります。これは特殊な技術の話ではなく、誰にでもできてしまう照合です。
入口になりやすいのは、次の4つです。
- アカウント名の使い回し。アプリのニックネームと、SNSのIDが同じ、あるいは一部が共通している。これだけで検索にかかります
- 写真の使い回し。プロフィール写真をSNSでも使っていると、画像検索でつながります。トリミングしていても、背景や構図から特定される場合があります
- 投稿の時間帯と内容。「今日は〇〇に行った」という話をアプリでした日に、同じ内容の投稿がSNSにあれば、照合できます
- 職業と地域の組み合わせ。「都内の看護師」だけでは絞れませんが、「〇〇線沿いの総合病院の看護師で、20代後半」まで揃うと、かなり狭まります
対策は難しくありません。アプリ用のニックネームは、他で使っていないものにする。写真はアプリ専用に撮り下ろす。この2つだけで、照合の入口はほとんど塞げます。詳しい撮り方はプロフィール写真の撮り方にまとめました。
職場や知り合いに見つかりたくないとき
「使っていることを知られたくない」という相談は、とても多く寄せられます。恥ずかしいことではないのですが、気持ちとしては分かります。防ぐ方法があります。
知り合い非表示の機能を使う。多くのアプリに、電話帳やSNSの友だちリストと照合して、お互いに表示しないようにする設定があります。名前は「知り合いに会わない機能」「シークレットモード」などさまざまですが、設定画面のプライバシー項目にあります。登録した直後に、いちばん先にやっておくべき設定です。
写真は「顔は分かるが、身元は分からない」ものを選ぶ。社員証、制服、店名の入った看板、部屋の間取りが分かる背景。これらが写り込んでいないかを確認します。
プロフィール文に、勤務先が特定できる要素を書かない。「〇〇株式会社勤務」はもちろん、「駅前の〇〇で働いています」も避けます。職種と業界までで十分伝わります。書き方の具体例は職業・年収欄の書き方にあります。
万が一、知り合いを見つけてしまっても、相手も同じアプリを使っているという事実は変わりません。気まずさは一瞬ですし、言いふらす人はまずいません。過度に恐れる必要はない、というのが実際のところです。
アプリ側に預ける情報は、どう扱われるのか
相手に渡す情報とは別に、運営会社に預ける情報があります。本人確認書類がその代表です。ここを気にする方は少ないのですが、確かめ方を知っておくと安心できます。
確認したいのは、次の点です。
- 提出した身分証の画像が、いつまで保管されるか。プライバシーポリシーに保管期間が書かれています。「確認後すみやかに削除」と明記している事業者もあります
- マイナンバーの部分を隠せるか。マイナンバーカードを使う場合、番号面ではなく顔写真面を提出するのが原則です。通知カードは本人確認書類として使えません
- 退会したときに、データがどうなるか。「退会後〇か月で削除」と定められているのが一般的です
- 第三者提供の範囲。広告のために外部へ渡される情報があるかどうか
これらは、すべてプライバシーポリシーに書かれています。長くて読む気になれない文書ですが、「保有期間」「第三者提供」「削除」の3語を検索するだけで、要点は掴めます。書いていない事業者は、それ自体が判断材料になります。
話しすぎたと感じたときに、できること
すでに詳しく話してしまった場合でも、打てる手はあります。順番があるので、上から進めてください。
1. 何を渡したかを書き出す。本名、勤務先、最寄り駅、SNSのID、写真。記憶を頼りにせず、やりとりを遡って確認します。何が漏れているか分からない状態が、いちばん不安を大きくします。
2. SNSの設定を締める。非公開アカウントに切り替える、過去の投稿の公開範囲を変える、位置情報付きの投稿を消す。特に、家の近所で撮った写真は優先して見直してください。
3. アプリ内でブロックし、通報する。相手がしつこく情報を求めてきた、あるいは渡した情報を使って接触してきた場合は、通報の対象になります。手順は通報とブロックの使い方にまとめています。
4. 実害が出たら、警察に相談する。付きまとい、勤務先への連絡、写真の無断使用といった段階に進んだら、迷わず相談してください。緊急でない相談は警察相談専用電話「#9110」です。やりとりの記録を持参すると、話が早く進みます。
そして、渡した情報を悔やみすぎないでください。「線引きを知らなかった」だけであって、失敗ではありません。次から気をつければ済む話です。
始める前に、SNS側を締めておく
アプリ側で気をつけていても、SNSが開いたままだと意味がありません。登録する前に、次を確認してください。
共通してやること
- 非公開アカウントに切り替える。あるいは、公開範囲を「友達のみ」に
- 電話番号・メールアドレスでの検索を、オフにする。これがオンだと、番号を知られた時点でアカウントを見つけられます
- 過去の投稿の公開範囲を、まとめて変更する。一括で変更できる機能があります
- 位置情報が付いた投稿を消す。とくに自宅の近所で撮った写真を優先して見直してください
- プロフィール写真を変える。アプリで使っている写真と同じだと、画像検索でつながります
- 本名の表記を見直す。フルネームの漢字表記は、検索の入口になります
見落とされやすい場所
- フォロー・友達の一覧。ここから職場や地域が推測されます
- タグ付けされた投稿。自分では管理できないため、承認制にしておく
- 地図アプリやグルメサイトへの口コミ投稿。実名やアイコンとともに、行動範囲が公開されている場合があります
- 古いブログやアカウント。使っていないものが、検索に残っていることがあります
この作業は、30分で終わります。登録してから慌てるより、始める前に済ませておくほうが確実です。
アカウント自体を、守っておく
個人情報の話でもうひとつ大切なのが、アカウントそのものが乗っ取られないようにすることです。婚活のアプリには、やりとりの記録や写真が残ります。
1. パスワードを、使い回さない。他のサービスで漏れた組み合わせが、そのまま試されることがあります。婚活のアプリには、専用のパスワードを設定してください。
2. 二段階認証を、設定する。対応しているサービスであれば、必ず有効にしてください。パスワードだけの状態より、格段に安全になります。
3. 登録に使うメールアドレスを分ける。普段使いのアドレスと分けておくと、万一のときに切り離せます。フリーメールで新しく作れば十分です。
4. 端末にロックをかける。意外と多いのが、置いたままにしたスマートフォンを、身近な人に見られるという形です。画面のロックと、アプリごとのロック機能を確認してください。
5. 通知の表示を、内容が出ない設定にする。ロック画面にメッセージの中身が出ると、人前で見られます。
6. 公共のWi-Fiで、重要な操作をしない。身分証の提出や、決済の登録は、自宅の回線で行ってください。
この6つは、一度設定すれば終わりです。合計で15分ほど。情報を守るいちばんの土台は、ここにあります。渡す情報を選ぶことと、同じくらい重要です。
段階ごとの、開示の目安
どの情報を、いつ渡すか。段階ごとに整理しておきます。
| 段階 | 渡してよい情報 |
|---|---|
| プロフィール | ニックネーム、年代、都道府県か市区町村、業種と職種、休みの取り方 |
| やりとり | 沿線、下の名前、おおまかな生活のリズム |
| 会う約束をしたら | 連絡先(LINEなど)、当日の目印 |
| 実際に会ってから | 最寄り駅の範囲、より詳しい仕事の内容 |
| 2〜3回会ってから | 本名、SNS |
| 交際が始まってから | 会社名、自宅の場所、家族のこと |
| 結婚を考える段階 | 収入の詳細、健康に関すること、資産や負債 |
この順番の意味は、ひとつです。「相手が誠実だと分かってから、取り消せない情報を渡す」。
会社名も、自宅の場所も、いったん伝えると取り消せません。急いで伝える理由がない情報は、急がないでください。
そして、相手が段階を飛ばして聞いてくる場合は、注意してください。会う前に会社名や住所を執拗に聞く、身分証の画像を求める——これらは、規約違反として通報の対象になります(通報とブロックの使い方)。
よくある質問
隠していると、警戒されませんか?
いつ本名を伝えればいいですか?
もう詳しく話してしまいました。
ニックネームは本名の一部を使ってもいいですか?
相手にだけ情報を求められて、教えてもらえません。
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