やりとりが数往復で止まってしまう。話題が思いつかない。これは会話のセンスの問題ではなく、話の広げ方を知っているかどうかの問題です。
続かない原因は「質問の作り方」
会話が止まる典型は、「はい・いいえ」で終わる質問を続けてしまうことです。
- ✕「映画は好きですか?」→「好きです」で終わる
- ○「最近見た映画で、印象に残っているものはありますか?」→答えから次が広がる
もうひとつは、質問だけを繰り返すことです。相手からすると面接のように感じます。自分の話を少し混ぜてから質問すると、会話らしくなります。
広がりやすい話題・広がりにくい話題
| 広がりやすい | 広がりにくい・避けたい |
|---|---|
| 休日の過ごし方 | 年収、貯金 |
| 食べもの(好き嫌い、行った店) | 過去の恋愛の詳細 |
| 最近行った場所 | 政治、宗教 |
| 仕事の内容(大変さより面白さ) | 他人の悪口、職場の愚痴 |
| 子どもの頃の話、出身地 | 容姿への言及 |
| これからやってみたいこと | 結婚を急かす話(序盤では) |
食べものの話は、ほぼ確実に広がります。誰にでも好みがあり、店の話から会う約束にもつなげやすいためです。
相手の答えから次を作る
新しい話題を探すより、相手の答えの中から次の質問を作るほうが自然です。
「休日はカフェ巡りをしています」
→ ✕「そうなんですね。ところで映画は見ますか?」(話題が飛ぶ)
→ ○「カフェ巡りいいですね。どのあたりに行かれるんですか?」(掘る)
→ ○「コーヒーはブラック派ですか? 私は最近ようやく飲めるようになりました」(自分の話を混ぜる)
掘る、共感する、自分の話を混ぜる。この3つを回していれば、話題は尽きません。
会う話に移すタイミング
会話が続くと、今度は「いつ会う話をするか」で迷います。目安は、やりとりが始まって1〜2週間、往復10回前後です。
長引くほど会いにくくなります。メッセージだけの関係が固定してしまい、実際に会う一歩が重くなるためです。
切り出し方は、話題の流れに乗せるのが自然です。
- 「その店、気になります。よかったら今度ご一緒しませんか」
- 「話していて楽しいので、一度お会いできたらうれしいです」
「何を」ではなく「どう感じたか」を聞く
会話が続かない人の質問には、共通の形があります。事実を聞いて終わっているのです。
| 広がらない聞き方 | 広がる聞き方 |
|---|---|
| 休日は何をしていますか | 休日って、家で過ごす派ですか、出かける派ですか |
| 好きな食べものは何ですか | 最近食べたもので、また食べたいと思ったものはありますか |
| お仕事は何ですか | 今のお仕事、どんなきっかけで選ばれたんですか |
| 旅行は好きですか | 旅行だと、詰め込むほうですか、のんびりするほうですか |
| お酒は飲みますか | 飲むとしたら、静かなお店と賑やかなお店、どちらが落ち着きますか |
右側に共通しているのは、相手が「自分について語れる」形になっていることです。事実は一言で終わりますが、好みや理由を聞かれると、人は自然に説明を始めます。
もうひとつ有効なのが、二択で聞くことです。「どんな映画が好きですか」は答えるのに考える時間が要りますが、「映画館派ですか、家で観る派ですか」なら即答できます。答えやすさが、返信の速さと長さを決めます。
話題の在庫を、10個持っておく
その場で考えようとするから、詰まります。あらかじめ引き出しを用意しておけば、迷いません。広がりやすい順に挙げます。
- 食べもの。誰でも話せて、外れがありません。会う店の話にもつながります
- 休日の過ごし方。生活のリズムが分かり、日程調整の下準備にもなります
- 住んでいる地域の話。「〇〇のあたり、詳しいですか」。会う場所の相談に自然につながります
- 仕事の入口。内容より「なぜその仕事を選んだか」。人柄が出ます
- 子どものころの話。部活、住んでいた場所、習いごと。警戒されにくく、盛り上がりやすい話題です
- 最近始めたこと・やめたこと。今の関心が分かります
- 旅行や行ってみたい場所。将来の話に無理なく移れます
- 好きな音楽・番組・本。共通点が見つかると一気に近づきます
- ペットや動物。写真が出てくると会話が弾みます
- 疲れの取り方・休み方。生活の価値観が見える、意外に深い話題です
この10個を順に使うだけで、2週間はもちます。そして2週間もたせる必要は、そもそもありません。3〜5往復したら会う話に移るのが、いちばん自然な流れです。
相手に合わせる、3つの調整
話題選びより効くのが、相手のペースに合わせることです。3か所を合わせるだけで、やりとりが楽になります。
1. 文の長さ。相手が3行なら、こちらも3行前後に。倍以上書くと、相手は「同じだけ返さなければ」と負担を感じます。逆に、相手が長文で書いてきたときに一行で返すと、そっけなく映ります。
2. 返信の速さ。即返信が続くと、相手は常に見ていなければと感じます。相手が数時間おきなら、こちらも合わせる。合わせること自体が、相手への配慮として伝わります。
3. 敬語とくだけ方。相手が敬語を崩したら、こちらも少し崩す。先に崩すのは避けてください。常に半歩うしろを歩くくらいが、居心地よく感じられます。
返信が来ないあいだに、追加のメッセージを送ってしまう方がいます。これは逆効果です。相手の受信箱に未読が積み上がり、返信の心理的な負担が増えます。送ったら、返るまで待つ。この一点を守るだけで、続く確率が上がります。
触れないほうがいい話題
広げるより先に、止めてしまう話題を避けるほうが大切です。会う前の段階では、次を避けてください。
- 元交際相手の話。自分の話も、相手への質問も。会う前に出す話ではありません
- 年収・貯金・家賃。プロフィールに書かれている以上のことを聞かないでください
- 体型・容姿の指摘。褒めるつもりでも、身体の話は避けたほうが無難です
- 政治・宗教・信条。合わないと分かった時点で終わります。会って関係ができてからの話題です
- 家族の病気や不幸。相手から話された場合は受け止め、こちらから掘り下げないこと
- 下ネタ・性的な話題。目的を疑われ、通報の対象にもなります
- 他の人とのやりとりの話。「他にも何人か会っていて」は、聞かれるまで話さないほうが穏やかです
もし相手からこれらを振られた場合は、短く答えて、話題を変えてください。「そのあたりは、また落ち着いたときにでも」で十分です。しつこく食い下がってくるなら、それは相性ではなく、警戒すべきサインです。
止まったときの、再起動の一言
会話が途切れかけたとき、そのまま自然消滅させないための言い回しをいくつか用意しておきます。どれも、相手に負担をかけずに再開できる形です。
- 「そういえば、〇〇がお好きと書かれていましたね」——プロフィールに戻る。いつでも使えます
- 「今日、〇〇を食べたんですが、これが当たりで」——自分の話から入る。質問しないぶん、相手が気楽です
- 「お忙しそうですね。無理のないペースで大丈夫です」——相手の沈黙を許す一言。かえって返信が来ることがあります
- 「よかったら、一度お会いしてみませんか」——話題が尽きたときの正解は、たいていこれです
最後の一手が重要です。やりとりを長く続けることが目的ではありません。文字だけの会話には限界があり、そこを頑張っても、実際に会ったときの相性は分かりません。3〜5往復して、感じが悪くなければ、会う提案に進んでください。切り出し方は会うまでの期間に、当日の準備ははじめて会う日のチェックリストにまとめています。
話を、3つの層で深める
同じ話題でも、深さを変えると、そのたびに新しい会話が生まれます。3つの層で考えてください。
【表層】事実を聞く
「休日は何を?」「お仕事は何を?」——ここで止まると、会話は終わります。
【中層】好みや理由を聞く
「どういうところが好きなんですか」「なぜそれを選んだんですか」——相手が自分について語れる形になります。
【深層】価値観に触れる
「休みの日は、何もしない時間があるほうが落ち着きますか」「仕事で大事にしていることってありますか」——その人の考え方が見えてきます。
例:「料理が好き」から広げる
- 表層:「よく作るんですか」→「週末に作り置きを」
- 中層:「作るのと食べるの、どっちが好きですか」→「作るほうが好きかも」
- 深層:「無心になれる感じですか」→「そうそう。仕事のこと忘れられて」
3往復で、「休日の過ごし方」と「仕事との向き合い方」の両方が分かりました。新しい話題を探す必要はありません。
ただし、いきなり深層から入らないでください。初対面で「仕事で大事にしていることは」と聞かれると、面接のようになります。表層から順に、階段を上るように。
相手が話しすぎるときの、受け方
逆の悩みもあります。相手ばかりが話して、こちらが聞き役に回り続ける場合です。
まず、これは悪いことではありません。話しやすい相手だと思われている、という面もあります。ただし、一方通行が続くと、関係は育ちません。
会話を戻す方法
- 相づちのあとに、自分の話を短く足す。「そうなんですね。私も似たことがあって——」。否定せずに、自然に入れます
- 質問を返す形にする。「〇〇さんはそうなんですね。私は逆で、△△なんですが、どう思われますか」
- 話題を、自分が話せるものに寄せる。相手の話の中から、自分も知っている部分を拾う
それでも変わらない場合、確かめてほしいこと
- こちらに質問が来るか。1時間話して、こちらへの質問がゼロなら、関心が薄い可能性があります
- こちらが話し始めたとき、聞いてくれるか。すぐ自分の話に戻すなら、その傾向は続きます
- 自慢や、他人の批判が多くないか
これは、相性を測る重要な場面です。結婚を考えるなら、「こちらの話も聞いてくれるか」は、条件よりはるかに大切になります。
緊張して話しすぎる人もいます。2回目に会ったときに落ち着くこともあるので、1回で判断しなくて構いません。ただし、3回目も同じなら、それがその人の話し方です。
やりとりの、適切な長さ
会話を続けることが目的になってしまう方が多いので、目安を置いておきます。
| 往復数 | この段階ですること |
|---|---|
| 1〜2往復 | お互いの基本的なこと。挨拶と、軽い話題 |
| 3〜4往復 | 生活のリズム、休みの取り方。会う話の下準備 |
| 5往復前後 | 会う提案をする。ここが適切な時期です |
| 10往復以上 | 長すぎます。話題が尽きるか、他の人と進まれます |
| 2週間以上 | 会う意思がない可能性を考えてください |
やりとりを長く続けることが、目的ではありません。文字だけの会話には限界があり、そこを頑張っても、実際に会ったときの相性は分かりません。
むしろ、長く続けるほど不利になります。
- 話題が尽きて、会ったときに話すことがなくなる
- 相手の中で期待が膨らみ、会った日に落差が生まれる
- 他の人と先に進まれる
3〜5往復して、感じが悪くなければ、会う提案をしてください。これが、いちばん結果につながる進め方です(会うまでの期間)。
よくある質問
毎日やりとりすべきですか?
話題が尽きたら終わりですか?
相手が質問してくれません。
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