業者アカウントは、恋愛目的を装って別のサービスへ誘導したり、勧誘を行ったりする存在です。手口には決まったパターンがあるので、見分け方を知っていれば、やりとりを始める前に気づけます。
業者が狙っていること
| 種類 | 目的 | 誘導先 |
|---|---|---|
| サイト誘導型 | 有料サイトに登録させる | 「このサイトでしか連絡できない」と外部URLへ |
| 商材・投資型 | 金銭を得る | 投資、副業、情報商材 |
| 勧誘型 | 組織への加入 | 宗教、ネットワークビジネス、セミナー |
| 営業型 | 本業への集客 | 保険、不動産、美容サービスなど |
| 個人情報収集型 | 情報の転売 | アンケート、登録フォーム |
いずれも「あなたと交際する気はない」という点で共通しています。恋愛は入口として使われているだけです。
プロフィールで気づくポイント
ひとつだけでは判断できませんが、3つ以上重なったら警戒してください。
- 写真が1枚だけで、モデルのように整っている。ストックフォトや他人の写真の流用が疑われます
- 自己紹介文が極端に短い、または抽象的。「優しい人が好きです」だけなど、誰にでも当てはまる内容
- 収入や職業が不自然に高い。「経営者」「投資家」で、20代前半など
- プロフィールに外部の連絡先やIDが書いてある。多くのサービスで規約違反です
- 登録直後なのに「いいね」が大量についている。不自然な活動量
相手の写真を保存して、画像検索にかけてみてください。海外のSNS、ストックフォトサイト、別人の名前で出てくる場合は、流用された写真です。1分でできる確認なので、少しでも不安を感じたら試す価値があります。
メッセージで気づくポイント
会話が噛み合わない
こちらの質問に答えず、自分の話だけを進める。テンプレートを送っているためです。試しにプロフィールに書いていない具体的なことを質問してみると、はっきりします。
すぐに外部へ誘導する
「このアプリは使いにくいから」「もうすぐ退会するから」と理由をつけて、早い段階でLINEや別サイトに移そうとします。アプリの外に出れば、運営の監視も通報も効かなくなるためです。
会う話が具体化しない
会う約束をしても、直前で流れる。あるいは「まずはビデオ通話で」と言いながら実行されない。実際に会う気がない相手の典型です。
話題が徐々にお金や自己啓発に寄る
「最近こういうことを始めて」「人生が変わった」といった話が出てきたら、次はほぼ勧誘です。
気づいたときの対処
- ブロックして通報する。理由を説明する必要はありません
- やりとりのスクリーンショットを残す。通報時の証拠になります
- 外部サイトに登録してしまった場合は、そのサイトを退会する。クレジットカード情報を入力していたら、カード会社にも連絡してください
通報は、運営が業者を排除するための重要な情報源です。あなたの通報が、次の人を守ります。
業者アカウントは、どう作られているのか
見分ける前に、相手がどうやってアカウントを用意しているかを知っておくと、違和感の理由がはっきりします。
写真は、たいてい他人のものです。海外のSNS、モデルの宣材、素材サイト、あるいは日本人のInstagramから無断で持ってきた写真が使われます。だから枚数が少なく、統一感がなく、日常の何気ない写真がありません。「盛れている写真ばかりで、生活感のある1枚がない」という違和感は、ここから来ています。
1人が複数のアカウントを回しています。効率を上げるため、同時に何十件ものやりとりを進めます。その結果、返信が定型文になり、こちらの質問への応答がずれます。会話が噛み合わない理由は、相手が別の誰かへの返信と混同しているからです。
返信の時間帯が、業務時間と一致します。平日の9時から18時のあいだだけ活発で、夜間や休日に止まる。恋愛目的の個人であれば、むしろ夜のほうが動きます。この逆転は、かなり分かりやすい手がかりです。
身分証は用意されています。本人確認を通っているから安心、とはなりません。年齢確認は「18歳以上の実在する人物か」を見るもので、目的までは確認できません。詳しくは本人確認でできること・できないことをご覧ください。
サイト誘導型の、実際の流れ
もっとも件数が多いのが、外部の有料サイトへ誘導する型です。お金の取られ方に決まった手順があります。
1. 早い段階で「別の場所で話そう」と言われる。理由は「アプリを退会するから」「通知が来ないから」などさまざまですが、必ず理由がセットで来ます。
2. 送られたURLから、登録する。登録は無料です。ここでポイントを何ポイントか無料でもらえることが多く、「無料だから」と警戒が緩みます。
3. メッセージのやりとりに、ポイントが必要になる。1通送るのに数百円。相手からの返信を読むのにも消費します。無料ポイントは、すぐに尽きるよう設計されています。
4. 相手の返信が、絶妙に途切れない。会う話も進みます。「あと少しで会える」という状態が続き、その間ずっとポイントを買い続けることになります。
5. 会えないまま、金額が膨らむ。数万円から、多い場合は数十万円に達します。
見分ける方法は単純です。「メッセージを送るのにお金がかかるサービス」は、正規のマッチングアプリではありません。正規のアプリは月額制で、何通送っても追加料金は発生しません。料金の仕組みについては料金の仕組みにまとめました。
1通ごとに課金される仕組みをポイント制といい、これを採用しているのはいわゆる出会い系サイトです。国内の主要なマッチングアプリは、ほぼすべて月額制です。「1通◯円」という表示を見た瞬間に、閉じてください。
営業型は、いちばん見分けにくい
保険、不動産、投資信託、美容サービス。本業への集客目的で使われるアカウントは、いちばん判別が難しい種類です。
理由は、実在する本人が、実際に会いに来るからです。写真も本物、経歴も本物、話も噛み合う。プロフィールの違和感を探しても、見つかりません。
分かるのは、たいてい2回目か3回目に会ったときです。
- 話題が、将来のお金の不安に寄っていく。「老後どうする?」「貯金だけだと厳しいよね」
- 職業の話が、やけに詳しく、前向きに語られる。仕事の愚痴が一切出てこない
- 「参考までに」と資料やシミュレーションを見せられる
- 「詳しい人がいるから会ってみない?」と第三者が登場する
ここで知っておきたいのは、職業として保険や不動産に携わっていること自体は、まったく問題ではないということです。問題なのは、恋愛を装って営業の場を作ったことのほうです。判断の基準は、「相手が、あなたを顧客としてではなく、交際相手として見ているか」の一点に尽きます。
断り方や、その後の離れ方については投資・副業・宗教の勧誘で詳しく扱っています。
3分でできる、業者かどうかの確認
怪しいと感じたとき、その場でできる確認が4つあります。どれも相手に気づかれずにできます。
1. 写真を画像検索にかける(1分)
相手のプロフィール写真を保存して、Googleレンズなどにアップロードします。別人のSNSや素材サイトが出てきたら、それで決まりです。
2. プロフィールにない具体的なことを聞く(1分)
「最近行ったお店で、よかったところありますか」「その仕事って、繁忙期はいつごろですか」。テンプレートで返している相手は、ここで答えがずれます。あるいは質問を無視して自分の話に戻ります。
3. 外部URLを渡されたら、ドメインを見る(30秒)
知らないサービス名であれば、その名前で検索してみてください。「〇〇 詐欺」「〇〇 評判」で調べると、たいてい情報が出てきます。何も出てこない、作られたばかりのサイトも警戒対象です。
4. アプリ内の通話を提案する(30秒)
「一度お話ししてみませんか」。業者は基本的に応じられません。複数のアカウントを回している以上、声を出すと破綻するからです。断られ方に理由が並ぶようなら、そこで判断できます。
この4つで、ほとんどの業者は判別できます。疑うことに気が引ける方もいますが、まっとうな相手であれば、どれも引っかかりません。
誘導先に登録してしまったときの対処
すでに外部サイトに登録し、課金までしてしまった場合の手順です。順番があります。
1. 追加でポイントを買わない。「あと少しで会える」は、そう思わせるための演出です。ここで止めれば、被害はそこで確定します。
2. 証拠を保存する。サイトのURL、登録メールアドレス、購入履歴、やりとりの画面、決済の記録。退会すると見られなくなるものがあるので、退会前に保存してください。
3. 退会手続きをする。退会ページが見つけにくい作りになっていることがあります。利用規約の下部やヘルプページを確認してください。
4. 決済手段を止める。クレジットカードを登録していたら、カード会社に連絡し、経緯を説明します。不正利用として調査されたり、支払いを止められたりする場合があります。キャリア決済の場合は携帯会社に相談します。
5. 消費生活センターに相談する。消費者ホットライン「188」にかけると、最寄りのセンターにつながります。返金の可能性や、次に取るべき手続きについて、無料で助言が受けられます。
6. 元のアプリに通報する。誘導してきたアカウントを通報してください。同じ手口で他の人が被害に遭うのを防げます。
そして、恥ずかしさから相談をためらわないでください。この手の手口は、そもそも引っかかるように作られています。相談が遅れることのほうが、はるかに大きな損失になります。
作られた写真・文章の、見分け方
近年、実在しない人物の写真や、機械的に作られた文章が使われる例が出てきています。見分けるポイントがあります。
写真で見るところ
- 耳、指、歯。数や形が不自然になっていることがあります。とくに指の本数と、アクセサリーの重なり方
- 背景。文字や看板が、読めない崩れ方をしている。柱や窓枠が途中で曲がっている
- 髪の生え際。境界がぼやけて、背景と溶け合っている
- 眼鏡のフレーム。左右で形やゆがみ方が違う
- 複数枚あるのに、すべて同じ角度・同じ光。日常の写真が1枚もない
- すべての写真で、服装や髪型が完璧に整っている
文章で見るところ
- 整いすぎている。誤字も口癖もなく、どの文も同じ長さ
- 具体的な固有名詞が出てこない。店名、地名、番組名。「おいしいお店」「素敵な場所」で止まります
- こちらの質問に、ずれた答えが返る。質問の一部だけを拾って、あとは一般論
- 感情の表現が、教科書的。「とても嬉しいです」「素晴らしいですね」が繰り返される
確かめ方は、変わりません。プロフィールに書いていない具体的なことを聞き、通話を提案する。作られたアカウントは、この2つに対応できません。「先週行ったお店で、よかったところはありますか」——この一言で、たいてい分かります。
同じ相手が、何度も戻ってくる理由
通報してアカウントが消えても、しばらくすると似たアカウントが現れる。これには理由があります。
1. アカウントは、いくらでも作り直せる。別のメールアドレス、別の電話番号を用意すれば、再登録できてしまいます。強制退会になった情報をもとに再登録を防ぐ仕組みはありますが、完全ではありません。
2. 写真と文章は使い回される。同じ写真で、名前と年齢だけ変えたアカウントが現れることがあります。見覚えのある写真だと感じたら、その感覚は当たっている可能性があります。
3. 組織的に運用されている場合がある。1人が複数のアカウントを同時に動かしている、あるいは複数人で分担している。だから、返信が定型的で、会話が噛み合わないのです。
4. 一定の割合で成功するため、続けられる。100人に送って99人に無視されても、1人が応じれば成立します。あなたが応じなかったことには、意味があります。
だからこそ、通報し続けてください。「どうせまた出てくる」と考えて通報をやめると、対応の材料が運営に集まりません。複数の通報が集まって、初めて措置が動くことがあります。
そして、一度やりとりした相手の特徴は、メモしておいてください。ニックネームの付け方、写真の傾向、最初のメッセージの文面。同じ手口を、次は最初の1通で見抜けるようになります。通報の手順は通報とブロックの使い方にまとめました。
よくある質問
業者はなぜ本人確認を通れるのですか?
すべての外部誘導が業者ですか?
間違えて通報してしまったらどうなりますか?
写真が本物でも、業者ということはありますか?
1通いくら、というサイトはすべて悪質なのですか?
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